フットケアについての連携医療最前線 トータルフットケアの重要性
特集記事:フットケアについての連携医療最前線
トータルフットケアの重要性
栗原 佑輔 先生
NPO法人 血管医学研究推進機構 協力研究者
ドクターネイル爪革命さいたま店 オーナー
インタビュアー
太田 祥江
NPO法人 血管医学研究推進機構 事務局長
太田:
昨年2020年12月4日〜5日 第1回日本フットケア・足病医学会年次学術集会が開催されました。私たちの生活の中で「足病変」についてのトラブルは様々ですが、実は複数の診療科(形成外科、皮膚科、整形外科、循環器科、血管外科等)による医師や看護師さんを含めた他業種の協働がトータルフットケアの治療の要となります。
同年次集会の場では、順天堂医院形成外科学教授・センター長である田中里佳先生より「足の疾患センター」設立経緯やミッションについて、医師と看護師さんの協働について、大変興味深いお話を伺いました。
今回は、順天堂医院「足の疾患センター」非常勤にてご所属の、外来にて看護師さんとともに患者さんのケアを携わっている栗原先生に、ご自身のフットケアサロンについて様々な観点からお話しを伺います。栗原先生、宜しくお願いします。
栗原先生:
宜しくお願いします。
では、簡単に私の紹介をさせていただきます。
私は現在、フットケアサロン「ドクターネイル爪革命さいたま店」を経営し「順天堂医院足の疾患センター」に所属していることから、民間のサロンと医療現場の2つのポジションから足のケアに携わっております。
なぜ、足のケアの世界に身を置いているかですが、私の前職は製薬会社の営業、つまりはMRでした。
MRという職種は、診療科問わず、様々な先生方にお会いする機会がありますが、足のケアとのきっかけは、まさに新米MRの私を育ててくれた先輩との出会いでした。
その方は、糖尿病から透析になり、次第に目も悪くなり運転免許は返還せざるおえなくなり、歩いて営業を余儀なくされていました。しかし残念なことに状況はさらに悪化、足の潰瘍が広がり、会社を退職せざるおえなくなりました。
私にとって、大変衝撃的な出来事でした。
太田:
そうでしたか。
足病変は、生活の質(QOL)に大きく影響します。先輩MRさんも治療をしながらお仕事を続けてゆくことはさぞかし大変でしたでしょう。
さて、栗原先生がお考えになるフットケアに関する連携医療の重要性について、
プライマリケアとしてのポジション、そしてミッションについてお聞かせいただけますか?
栗原先生:
医療と民間サロンと2つの立場からフットケアと関わってみると、まだまだ歴史の浅い日本の現在の状況から、連携医療の体制に限界を感じる事例がたくさん出てきます。もっと上手く医療と民間が連携し良い方向に進められる様に日々苦戦しながらも積極的に試みているところです。
また、足の医療においては、フットケア学会所属の医師や医療スタッフの活動実績より、日進月歩の勢いで治療は定着してきておりますが、民間で行われているフットケアに関しては、まだまだ確立しているとは言い難い状況です。
高齢化社会、人生100年時代の到来と言われますが、足のケアは、生活の質を守るという観点で悪くなる前の予防が重要です。
欧米では、専門機関にて足病科が確立され、民間フットケアのサロンとの連携を実現、医療診療とフットケアの切り分けが明確に行われ、医療提供が成り立っています。
統計上、足に悩みを抱えたことのある人は3,000万人いると言われておりますが、そのほとんどの方がセルフケアという行動を取っておられると思います。身近に信頼できるサロンがあれば、多くの人が足のケアに触れ、足を守るスタートラインに立てます。
太田:
なるほど。
理想と現実、なかなか厳しい状況ですか。
栗原先生:
私のサロンは埼玉県の大宮にあります。フットケアサロンに認められている巻き爪・肥厚爪・魚の目等のケアを中心に行っています。お客さんの9割ほどの方はフットケア初体験で来られます。まだ地域に浸透しているわけではないので、フットケアを探していた方々が、やっとたどり着いて来店されます。
店舗でのケア以外にも、高齢者施設へ訪問ケアも行っています。高齢者は肥厚・変形爪が当たり前のようになっており、爪が食い込んでいる方も多くいます。高齢者は体が硬くなり、目も見えにくくなるので爪のケアが難しくなります。施設の看護師は50人の施設で2、3名が平均なので爪のケアまで手が回りません。さらに、入浴は週に2,3回なので衛生面も確保しにくく、爪白癬も非常に多いです。
店舗・訪問ケアどちらを見ていても、足への意識の低さと後回し感が否めない状況です。
実は、大宮でサロンをオープンする際に、予め周辺の形成外科や皮膚科を巡り、ご訪問させていただきました。
そこでの専門医との意見は、
・専門でケアできる看護師がいないので医師がケアしているが時間がない
・医療の領域で行わないがケアしたほうが良い足がある
・医療以外で認められているフットケアをよく知らなかった
といった悩み事が多く、連携医療役割分担という意味合いでは、大変理解を示してくれます。
勿論、民間サロン側としても、
・傷、感染等の医療への移行
・糖尿病や循環障害等の状態の確認
・イボや陥入爪でサロンに来てしまう 等
医療領域の紹介場所があるのは非常に心強いです。
つまりは、技術・知識がしっかりしたフットケアサロンが浸透すれば、フットケアの入り口が広くなり、年齢や疾患で状態が複雑になるころには医療に移行できるという体制が作れると想定されます。
医療と民間サロンの役割分担は、最重要課題でありますが、患者様の安心度にも繋がることでしょう。
太田:患者様への安心度、非常に重要だと思います。
さて、最後になりますが、今後の事業展開についてお伺いさせてください。
栗原先生:
現状の問題点は、民間サロンの信用性だと感じています。医療と関われる技術をしっかりと経験した施術者のいるサロンが増えていけば、民間サロンの立場も確立されてくると思います。
私は民間サロン経営と田中先生の「足の疾患センター」にて医療の現場にも携わらせていただいております。医療と連携している安心できるサロンを目標として、患者様のために日々、尽力いたしているところです。
足にお悩みを抱えた患者様には安心して当院にお越しいただきたいと思います。
また足を診れるクリニックとのネットワークや橋渡し、連携医療を積極的に普及させていいたいと考えます。
太田:栗原先生、ありがとうございました。
さて、今回インタビューさせていただきました栗原先生のサロンは、次のとおり。
お近くにお住まいの患者様がおられましたら、ぜひお気軽にご相談されてみてはいかがでしょうか。
足のトラブル119番 ドクターネイル爪革命
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https://dr-nail.jp
栗原先生プロファイル
栗原佑輔先生
オーナー
ドクターネイル爪革命 さいたま店
2009年 3月 麻布大学 衛生技術学科 卒業
2009年 4月 東海大学大学院 医学研究科 入学
2011年 3月 東海大学大学院 医学研究科 卒業
2011年 4月 大正富山医薬品株式会社 入社
2019年 3月 大正富山医薬品株式会社 退社
2019年 7月 ドクターネイル爪革命さいたま店 訪問ケア開始
2020年 1月 順天堂医院 足の疾患センター
2020年10月 ドクターネイル爪革命さいたま店 店舗オープン
所属学会:日本フットケア・足病医学会