特定非営利活動法人 血管医学研究推進機構は医療と皆様の橋渡しができる団体を目指します。

NPO法人血管医学研究推進機構

TCT (Transcatheter Cardiovascular Therapeutics) Report

東海大学医学部 先端医療科学 教授
NPO 法人 血管医学研究推進機構 理事長
浅原 孝之

TCT (Transcatheter Cardiovascular Therapeutics) 2019 が9 月25 日から29日までサンフランシスコで開催されました。その中で心血管治療研究領域の発表などに参加してきましたので、ご報告致します。
TCT は、心臓血管研究財団Cardiovascular Research Foundation (CRF)という心血管医学研究を発展させるための財団が毎年開催する、侵襲的心血管治療の臨床および研究のエキスパートを集めた会議になります。
多くは臨床研究医の方の参加による最新治療研究や症例報告になりますが、その中で今後の血管医学研究に関係する話題を拾ってみました。
血管再生治療の侵襲的心血管治療への応用に関しては、Caladrius 社の末梢血液CD34 陽性細胞を不安定狭心症患者に移植するNORDA 臨床治験が進んでおり今後の成績発表が注目されています。また、間葉系幹細胞(MSC)の細胞治療も進められています。Miami 大学のMSC のフレイルに対する臨床治験も心血管治療として注目すべき研究です。ただし今まで経管的血管再生細胞治療や血管再生集積性ステントなどの再生治療の発表も多かったのですが、
Transplantation and Cellular Therapy Meeting として独立したTCT 会議として開催されており、そちらでの発表を確認する必要がありそうです。
近年の血管医学研究として注目を集めている一つは、心血管領域におけるゲノム医学研究です。Brigham and Women’s Hospital 発表で癌関連遺伝子変異をもつクローン性造血( clonal hematopoiesis of
indeterminate potential:CHIP)の患者さんにおいて冠動脈性心疾患のリスクが非常に高い事が発表されて以来、CHIP 患者の心筋梗塞・動脈硬化・動脈石灰化リスク関連の報告が続き、心血管因子としてのゲノム変異が危険因子として認識されつつあり、その発表が注目を集めていました。
最後に、湘南鎌倉総合病院の齊藤滋先生がGeoffry O. Hartzler 氏を記念した2019 年のMaster Clinical Operator Award を受賞されMain Arena でインタビューを受けられました。日本における血管医学臨床研究のパイオニアとして世界に認識された結果として日本人として名誉な事を報告しておきます。

著者プロファイル

asahara
理事長 浅原 孝之 (東海大学医学部 先端医療科学教授)
【略歴】
1984 年:東京医科大学医学部卒業
1999 年:東京医科大学医学部博士課程修了
2000 年:東海大学医学部 総合医学研究所 助教授
2002 年:東海大学医学部 基盤診療学系 再生医療科学 教授
2003 年:先端医療センター 再生医療研究部 部長
2005 年:先端医療センター 血管再生研究グループグループリーダー
【主な研究分野】
血管再生治療、血管新生、VEGF の血管新生に対する作用、Angiopoietin-1,-2 の血管新生に対する作用、Ephrin,Eph の血管新生に対する作用、糖尿病と血管新生、老化と血管新生、高脂血症と血管新生