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NPO法人血管医学研究推進機構

6月:再生医療って何?

4月、5月のマナビラボでは、私たち、そしてより再生能力の強い生き物の再生の仕組みについて学びました。今回から、その仕組みを利用した医療である「再生医療」について学んでいきましょう。

再生医療とは?

さて、再生医療とはいったいどういう医療でしょうか?再生医療を一言でいうと、「私たちの体が備えている発生や再生の仕組み」を利用して病気やけがを治す治療方法です。「再生」と付いていることから誤解されることが多いのですが、残念ながら現在の医療技術では、前回紹介したアカハライモリのように失ってしまった腕や足を丸ごと再生するということはできません。しかしながら、これまでの医療では治療が難しかった多くの病気やケガが、再生医療によって治療できる可能性があるのです。

再生医療はなぜ注目されてるの?

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それでは、再生医療がこれまでの医療と比べて違う点は何でしょうか?
これまでの医療は、大きく分けると
①悪化を防ぎ自然治癒をサポートする(骨折の治療など)
②機器を使って人工的にサポートする(透析、義足など)
③悪いところを取り除く(がんの手術など)
④丸ごと取り替える(臓器移植など)
に分けられます。これに対して再生医療は、これらとは違う「(私たち自身の細胞の力で)失った体の機能を取り戻す」という新しいコンセプトの医療として注目されています。

具体的に、血管の病気の下肢重症虚血疾患を例に見てみましょう。この病気は、動脈硬化によって血管が細くなったり詰まったりすることで、足の筋肉に血液が十分に届かず、進行すると皮膚潰瘍や壊疽、最悪の場合には足の切断が必要となる重篤な病気です。これまでの治療では、初期段階であれば血管拡張薬や運動指導により、それ以上の悪化を防ぐ治療を行います(上記①)。ただし、一度細くなったり詰まったりした血管が、自然に治ることはありません。そのため、悪化した場合には、手術により血管にバルーン入れたり、バイパスを作ることで血流を確保する治療が行われます(上記②)。さらに進行して壊疽がひどくなった場合は、体の方に広がらないように足の切断が必要となります(上記③)。この状態になると、足を取り戻すには移植しかありませんが(上記④)、足の移植は世界でもほとんど例がありません。

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再生医療では、このように回復することが難しい下肢重症虚血疾患に対して、足に「新しく血管を再生させる」というアプローチで、血行を取り戻すことを目指します。血行が戻ることで、これまでは悪化を防ぐことしかできなかった下肢重症虚血疾患を回復させることが期待できます(治療法について詳しくは、『夢の治療最前線〜血管再生医療について』をご覧ください)。

今月の学び

再生医療は、これまでになかった「(私たち自身の細胞の力で)失った体の機能を取り戻す」という新しいコンセプトで、これまでに治療が難しかった病気やケガを治すことが可能になる「新しい医療」として期待されています。