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NPO法人血管医学研究推進機構

世界と比べた日本の再生医療
外国ではどんな再生医療が行われていますか?
日本の再生医療は(諸外国と比較し)どの程度進んでいるのでしょうか?

これまでマナビラボでは、色々な再生医療について紹介してきました。それらの中には、まだ臨床試験段階のものもあれば、すでに保険適用として承認されているものもありますが、いずれも日本国内で開発が進められ、日本国内で受けることのできる再生医療です。しかし、再生医療は日本だけでなく、世界中の多くの国でも行われています。今回は、海外の再生医療の状況を見ていきましょう。

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日本の再生医療は世界で何番目に進んでいる?

みなさんも日頃から感じているように、日本の医療レベルは間違いなく世界のトップ水準にあります。でも、例えば臓器移植はアメリカと比べると大きく後れを取っているように、中には遅れている分野もあります。それでは、再生医療の分野では日本は世界の他の国と比べてどうなのでしょうか?

認可された再生医療の数は、日本は世界第4位!

比べ方は色々あると思いますが、一つの例として国(日本で言えば厚生労働省)に認可された再生医療の品目数で比べてみましょう。
第4回のマナビラボ(https://angio.jp/manabi-lab-2020-07/ )で説明しましたように、2020年12月の時点で、日本では9品目の再生医療が認可されています。それに対して、一番多い国はEU(欧州連合)で44品目、次いで2位はアメリカで29品目、3位は韓国で23品目の再生医療が認可されています(EUでは国ごとではなくEU全体として認可が下ります)。日本はそれらに続く第4位です。ほかにはシンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、カナダがそれぞれ3品目で続きます。
アメリカやヨーロッパが多いのは予想通りだと思いますが、韓国がこんなに再生医療が盛んなことは意外だったのではないでしょうか?

開発中の再生医療の数は、日本は世界第3位!

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もう一つの例として、臨床試験の数を比べてみましょう。こちらは開発中の再生医療ということで、試験数が多ければ将来的に再生医療が盛んになることが期待できます。

さて、こちらの第1位はアメリカで、約260件の臨床試験が行われています。2位は約140件が行われている中国です。先ほどの認可されている再生医療の数では、中国は出てきませんでした。実は中国では数年前にようやく再生医療の法令が制定されたばかりで、今、すごい勢いで開発が進められています。アメリカとトップの座を争う日も、そう遠くないのかもしれません。そして3位が日本で、約40件の臨床試験が行われています。日本でもiPS細胞をはじめ、これからも多くの再生医療が実用化されることが期待されています。(※EUについては、こちらではEU全体ではなく各国ごとの集計となっているため、ランキング内には入りませんでした)

各国の再生医療

それでは、アメリカやヨーロッパ、韓国などではどのような再生医療が行われているのでしょうか?
実は、再生医療の種類はどの国でもほとんど変わりません。例えば韓国では、承認されている数は23品目と多いですが、その中の10品目が「やけど」などの治療に使われる皮膚の再生医療だったりと、治療の種類としては各国でそれほど差はありません。品目数が多いということは、それだけ多くの製薬企業が再生医療に盛んに参入しているということですが、品目数の差ほど、日本と世界の再生医療には差はないのかもしれませんね。

日本が世界に誇れる2つのこと

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このように、日本は再生医療分野では世界トップとは言えない状況です。でも、日本には世界に誇れる2つのことがあります。
1つ目は、ノーベル賞で話題となったiPS細胞です。日本は国を挙げて研究に力を入れており、第9回のマナビラボで説明しましたように、世界で初めて行われた加齢黄斑変性(眼の疾患)への移植をはじめ、iPS細胞を用いたいくつもの臨床試験が世界に先駆けて進められています。

2つ目は、第7回のマナビラボで紹介しました「条件・期限付き早期承認制度」という日本独自の制度です。いわゆる仮免許のような制度で、この制度によって、より早く患者様の元へ最新の治療を届けることができるようになりました。この制度のために、日本で治験を行う海外の製薬企業も増えてきており、いずれ最新の再生医療が日本に集まるようになるかもしれません。

今月の学び

再生医療の分野でもやはりアメリカやヨーロッパが強く、アジアでは韓国が盛んです。中国もすごい勢いで研究が進められており、近い将来トップの座を争うかもしれません。日本はそれらに続く3〜4番目といったところですが、iPS細胞の研究開発や日本独自の制度により、将来的に、数や規模は小さくても最先端の再生医療が日本に集まるようになることが期待されます。